気象予報士になるための試験では、「予報業務に関連する法令」の学科試験も盛り込まれている。そう、僕が嫌いな「法令」。一つ一つ覚えるのが大変というのもあるけれど、どうも“決まりごと”が苦手な僕には「法律や法令、法規を学ぶ」という行為ができない性格のようだ。
僕が「法令」や「ルール」が嫌いなのは、恐らく99%の確率で「僕の知らないオッチャンたちが、勝手に決めたルール」の一つだからかも知れない。とはいえ僕は、その時その時、必要なルールは勉強はした。たとえば自動車免許取得のための「道路交通法」や、教職採用試験のための「教育法規」になるけれど。
で、「予報業務に関連する法令」も、気象予報士試験のためのもの。この法令を分解すると、「気象業務法」や「災害対策基本法」「水防法」「災害対策に関連消防法」がある。試験では学科試験(5者択一のマーク試験、一般知識・専門知識各15問)の「予報に関する一般知識」の中で4~5問、出題されているようだ。
まずは基本のキ、の「気象業務法」。この法律は、“気象業務の健全な発達”を図り、「災害の予防」、「交通の安全の確保」、「産業の興隆等公共の福祉の増進」に寄与するためにある。とオッチャンの誰かが決めた。また「気象業務に関する国際的協力を行うことを目的とする」。
予報は全て「自然科学的方法による観測の成果」に基づくことが定められている。つまり「自然科学的知見を駆使して気象、地象及び水象を予想し発表すること」。ここには迷信や宗教、祈りが入り込余地はない。「天の神」は「天」の予報・予定から離れる。法的に。
気象予報を行うのは、基本「気象庁」。その役所以外の者が予報業務を行う場合には、「予報業務の目的期及び範囲を定めた気象庁長官の許可が必要」となっている。つまりデータをばっちり収集できても、勝手に予報はしてはいけない。天気予報は、それだけ重要かつ生活・生命に関わるものなのだ。
では「気象予報士」は法的にどんな位置づけか。と言うと、「予報業務許可事業者」なくてはならない一方で、「予報業務許可事業者」の業務のうち現象の予想以外、例えば「天気予報の解説」、「事業者の経営」などについては気象予報士である必要はない。医師の診断・病院経営と似たところはある。
「気象予報士」になるためには、「気象予報士試験」に合格し、気象庁長官の行う登録を受けなければならない。そして予報士試験に合格した者は、予報士となる資格を有しているだけ、な扱い。実際に予報士として活動するためには、面倒なことにも気象庁長官の登録を受けなければならない。予報業務許可も必要だ。
「警報及び注意報」に関しては、こんな。「気象庁以外の者は、気象、津波、高潮、波浪及び洪水の警報を行ってはならない」。しかし緊急時は別で、「津波に関する警報を適時に受けることができない地の市町村長は、例外として津波警報を行なうことができる」。加えて「水防法の規定による水防活動の利用に適合する警報」も例外。
「災害が発生するおそれがある異常な現象を発見したものは、遅滞なく、その旨を市町村長又は警察官若しくは海上保安官に通報しなければならない」とする「災害対策基本法」や、「水防法」や「消防法」などなど。これらがこの業界のルールであり、基本マニュアルになる。
もちろん“決まりごと”には、面倒な文章とは異なるものもある。誘導単位の「N」(力)を「ニュートン」と読むとか。その「ニュートン」については「質量1kgの物体に対して1ms-2の加速度を与えるために必要な力」とすること。よって、「N=kgms-2」とすること、とか。
さらには「重力によって生じる加速度はg=9.8ms-2であるため、1kgの物体に働く重力は9.8N」、よって「1kg重=9.8N」となるとするとか。科学めくと、急速にチンプンカンプンですね。うん。他にも、1m2あたりに働くN単位での力は「Pa(パスカル;圧力)」とする、とかもあります。天気予報業界、恐るべし。
◇おしまい