2012年7月25日水曜日

【気象考(4)】「風」編


「台風」とか「強風」とか「無風」とか。僕らは当たり前のように「風」について話す。ウィンドサーファーや凧揚げのプロ、あるいはナウシカでなくても、「風」は日常生活で気になる存在だ。特に節電が叫ばれる昨今の夏場は、風があるかないかは、死活問題になると思う。

その「風」について、ちょこっと整理してみちゃおっかなぁと思う。「風って何だろう?」。一言で言うと「空気の流れ」「大気の流れ」あるいは「気流」になる。ではなぜ空気が流れるのか。それは地球上にかかっている気圧が均等ではないからだ。気圧が高いところは「高気圧」、低いところは「低気圧」。「低気圧」は雲をともない、雨や風をもたらす方の気圧だ。

熱・エネルギーと同様、または精神的に弱い僕の目標レベルと同様、気圧も高い場所から低い場所へと流れる仕組みになっている。この空気の移動は、高気圧と低気圧の差が大きければ大きいほど激しくなる。高低が大きければ大きいほど、落ちる滝の勢い、水流の落下速度が激しくなることにも似ている。

例えば「台風」。これは「太平洋や南シナ海(赤道以北、東経180度以西100度以東)に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速(10分間平均)が34ノット(17.2m/s)以上のもの」を指す風の総称だ。この台風は、中心の気圧が非常に低くなるため、特に強い風が吹く。

ちなみに台風は、熱帯低気圧が発達し、強風域が生成されてはじめて、「台風」と命名される。同等の低気圧でも温帯で発生するものは「台風」とは呼ばれない。強風にはこの他「ハリケーン」や「サイクロン」などもあるけれど、その位置する海域別によって異なっている。まるで「神様」や「悪魔」の地域別名称のようですね。

ついでに「熱帯低気圧」。積乱雲が中心に向かって巻き込む、“渦巻き状”の構造になる。これが大きくなると、中心に「目」と呼ばれる雲がない空間ができる。「天空の城・ラピュタ」は「蜂の巣」と呼ばれる積乱雲の中心にあるとされているが、積乱雲の直径は300km程度から2000km程度までとさまざまある。

そう言えば、風には「貿易風」というのもある。英語で「trade wind」。これは亜熱帯高圧帯から赤道低圧帯へ、恒常的に吹く東寄りの風のことを指す。なぜ起こるのか、というと、赤道付近で強い日射で生じた上昇気流に関係している。この上昇気流は、北極・南極に向かっていくが、ここで地球の自転による「コリオリの力」が登場。

上昇気流は「コリオリの力」により、東寄りに向きを変える。そして緯度30度付近で滞留。そして今度は下降気流となって海面(地表面)に吹き下りてくる。こうして気流はぐるっと大気圏を巡る。これが「亜熱帯高気圧」。緯度20–30度付近の地域に形成され、年間を通じて存在する。

この「亜熱帯高気圧」は、赤道付近で上昇気流によってできた低圧部に向けて南北から吹き込む気流となる。これが貿易風です、ちゃんちゃん。つまり、北半球では北風、南半球では南風になるはずの気流は、「コリオリの力」により、北半球では「北東貿易風」、南半球では「南東貿易風」となる。

復習すると、周囲よりも気圧が低い場所が「低気圧」。貿易風の起こりでもあったように、気圧・密度が低いと、周囲の空気や風を引き寄せる。これを気象学では、「低気圧は気流を収束させる」と表現するようだ。

で、「大気の流れ」について。全てが均一化されるグローバル化のごとく、気圧の不均一を解消しようとして発生するのが風と言える。気象学では、「風は気圧傾度力によって発生する」と表現する、らしい。ではなぜ気圧が均等ではないのでしょうか。

そんな問いにはwikipedia先生が、こうお答えしております。「気圧の不均一や気圧傾度力が生まれる根本的な原因は、地球上において、場所によって太陽エネルギーの分布(≒温度)が異なるためである」。なるほど。

「日光の当たり具合や地表の温まりやすさの違いが、島や大陸といった巨大なスケールで存在すると、気圧が不均一になり、数千km規模の高気圧・低気圧が生まれる」。ほー、そういうことね。そいでもって「高気圧から低気圧へと流れる空気が、『風』の主因となる」とまとめてくれている。

これにて一件落着!と、ここでwikipedia先生に頼りすぎゆえの、妙な風を感じたり。感じなかったり。まあこうして知識も「知る者(wikipedia先生)から知らざる者(僕)へ」と流れ、知的均一化が図られていくのかも知れません。

◇おしまい