2012年7月9日月曜日

「ヒッグス粒子 発見」考(後編)

韓国のアイドルグループでない方の「ビッグバン」。あくまでも仮説なのだけれど、137億年前に「ビッグバン (Big Bang)」が起き、宇宙が始まった。宇宙が始まり、銀河系ができ、太陽系が構成され、地球が生まれた。その延長上に、人類誕生や戦争の歴史、AKB48の流行がある。

「ビッグバン理論」の歴史はそんなに長くない。1927年、ベルギーの天文学者でジョルジュ・ルメートルが提唱。その裏付けとなったのが、1929年に米国人天文学者のエドウィン・ハッブルがその観測で発見した「ハッブルの法則」だった。

現在「ハッブル宇宙望遠鏡」にも名を残すハッブルは、「銀河が地球に対してあらゆる方向に遠ざかっていること」、「その速度は地球から各銀河までの距離に比例していること」を発見した。ちなみに彼はマルチ人間だった。スポーツ万能、シカゴで物理学、オックスフォードで法学を学び、米国で法律家や高校教員、バスケットボールのコーチもした。軍隊入隊歴もあり、少佐にもなった。

ビッグバンの直後、大量の「素粒子」が発生。「素粒子」は、物質を構成する最小の単位のこと。つまり「物質を細分化していくと、最後にたどりつく究極の粒子」になる。最小単位は「原子」では、ない。僕たちに一番身近な素粒子は「電子」や「光子」になる。

身近でない素粒子には、「ニュートリノ」や「ラムダ粒子」、「シグマ粒子」などがある。約200種類以上が確認されている。最近よく聞く「ニュートリノ」は核反応を起こしたときによく発生する素粒子。質量が非常に小さいため、透過性が非常に高い。つまり人体でも金庫でも通過しちゃう。

素粒子が発生した当初は質量はなく、自由に飛び回っていたようだ。当初と言っても、ほぼ瞬間だけど。これが時間とともに冷却され、質量がある素粒子が登場。この「素粒子に質量を与えた」のが「ヒッグス粒子」。この粒子は、自由に動き回っていた素粒子、質量のない粒子を、動きにくいものにする。この動きにくさが質量になった。

この「動きにくさ」が、「質量」が、宇宙をつくった。宇宙をつくった物質、「ヒッグス粒子」。またの名を「神の粒子」。ノーベル物理学者のレオン・レーダーマンの著書のタイトルに由来する。レーダーマンは最初、この粒子を「いまいましい粒子」「くそったれな粒子」として紹介しようとしてたみたいだけれど。

で、「ヒッグス粒子発見」については、その可能性は99・99993%。これがパチンコの確率変動突入確率だったら、えらいこっちゃな数字だ。1回大当たりで5000円になるとして、すんごく運悪い場合で低く見積もって、10万回連続大当たりとすると、1回当たれば5億円以上がほぼ確定。

「ヒッグス粒子」かどうかは、早ければ年内に結論が出る。そのために現在スイスの「欧州合同原子核研究所」(CERN)で実験を続けていく。この「ヨーロッパ素粒子物理学研究所」とか、いろいろ呼ばれるCERN自慢の実験装置は、なんと全周27kmのもの。ほぼJR山手線くらい。地下にあり、国境を横断して設置されている。総建設費は約5000億円とも。

で、まとめにかかります。素粒子に質量を与える理由を説明する「ヒッグス場理論」。この最終結論を求めて、世界の叡知が今、スイスに集結中。ただ、この理論もあくまでも仮説だ。「素粒子にヒッグス粒子が質量を与える」という仮説。エディンバラ大学名誉教授のピーター・ウェア・ヒッグスが、1964年に唱えた。

では「質量の起源」を知ると、どうなるのか。それはいまいち分からない、僕には。けれど少なくとも、分かっていた方がいい、質量について。きっと僕の「思考」も質量がある。生化学的に。つまり「哲学する」とは「質量変動」かも知れないのだ。意味不明的に言えば。

この「質量変動」をより活発にさせるために、僕は「ヒッグス粒子」に、今後注目していきたい。その意識が「質量保持」されている限りにおいては。

◇おしまい