前回の「雨と大気編」で、「コリオリの力」に触れた。触れただけだけれど、これが気象現象を考察する上ではとても重要。なのでもう少し、浅めに深く、整理してみる。
「コリオリの力」は、大気について言えば、地球の自転が関係する物理的法則、回転系の力学だ。よく衛星写真で見る台風の渦は、この力が作用して、どっち向きかが決まっている。また大気だけでなく、海流運動もまた、この力が作用している。
よく引き合いにされる例が、洗面所や風呂場の排水口。排水口に吸い込まれる水は、北半球だと右回り、南半球だと左回りの渦になる。これは、回転する円板の上で、その中心からボールをまっすぐ転がすと、ボールが曲がって外側に転がっているように見えるのと同じでもある。
goo辞書の解説が分かりやすい。「コリオリの力」とは、「回転体上を運動する物体に働く慣性の力」のこと。「回転軸と物体の速度の向きとの両方に垂直に働き、物体の速度の向きを変える。台風の進路が、地球の自転のために曲がるのはこれによる」。
ふむふむ。「1828年、フランスの物理学者G=G=コリオリが提唱。コリオリ力。転向力。偏向力」。コリオリさんが、この不思議な力学を見つけた。実に面白い法則。
もっと分かりやすく説明しているサイトもある。こんな具合。「直進運動している物体を、回転している座標系から見ると、まるで横から力を受けているかのように軌跡が曲がってみえる。この見かけの力をコリオリの力と呼ぶ」。
次の部分が肝心。「実際に力が加わっているわけではないので、『力』という言葉を使うと、理解を妨げるような気がする。英語では『Coriolis Effect』と呼ぶので、このような現象を指して『コリオリ効果』と言った方が適切だ」。
つまり、「コリオリ効果」によって、直線方向への力が、まるで横から力を受けているように見えるということ。宇宙から見ると、北半球では真北に向かってまっすぐに撃った大砲が、東向きに曲がって進むように見える。
ちなみに気象予報士試験、学科一般の出題範囲に「大気の力学」があり、そこで「コリオリの力」が出てくる。計算もある。「コリオリの力 =-2×重さ(質量) ×回転角速度×運動速度」。この式を眺めて思う。最終的に、なんでやねん!
◇おしまい