2012年6月7日木曜日

「金環食」最高!を再考。

世紀の天体ショー、金環食。それは宇宙の神秘。あるいは奇跡の瞬間。2012年5月21日(月)の朝の出来事でした。

その当日まで、あれだけ「金環食を直視したらダメ!」「最悪失明しちゃうよ!」と騒がれていたのに、その後30日に日本眼科学会が公表した報告によると、日食を見たことでの眼障害の症例が、全国で546報告されている。これは中間報告だから、実際にはもっと“やちゃってる人”はいると思う。

「ばかだなー」と、ちょっぴりそんな日本人にかわいさを感じ、笑ってしまうのはダメなのかも知れないけれど。 仮にその後遺症が「太陽系の壮大なプラン」に組み込まれた、“壮大なしょうがなさ”と認識できれば、もしかしたらそれは思い出の外国でタトゥーを彫るのと同じことのようにも思う。

さて、金環食。世界大百科事典によれば、「太陽本体(光球)の中央部の光を月が遮り,太陽の縁のみが金の環のように輝いて見える現象」のことだ。「地球上の観測地点から月と太陽の中心が一直線上に並ぶとき,月の見かけの大きさが太陽よりも大きければ皆既日食,小さければ金環食となる」。つまりは「太陽ー月ー地球」の大きさ、距離の絶妙な関係が、生み出す現象になる。

では「太陽と地球」「月と地球」の“絶妙な関係”とはどんなものか、メモしてみる。
・太陽:地球から約1億5000万km、直径約140万km(地球の約109倍)
・月:地球から約38万km、直径約3500km(地球の約4分の1)

ここから、こんな公式ができあがる。
・地球から太陽までの距離 : 地球から月までの距離 ≒ 400:1
・太陽の大きさ : 月の大きさ ≒ 400:1

ってことで、地球から見た太陽と月の大きさは、ほとんど同じになる。夜空に浮かぶ満月の大きさは、夕陽の大きさと同じに見える。

だから「太陽-月-地球」と一直線上に並べば日食が起こる。太陽と月の見かけの大きさが同じに見える地域では、太陽は月に隠され、皆既日食となる。また「太陽-地球-月」と一直線上に並べば、月食になる。

そんな“絶妙な関係”による天体ショーに、人は神を感じたりする。感じなかったりもする。けれどこの偶然は、極めて奇跡に近い、“あり得ない”バランスだと、僕は思う。実際、「日食」「月食」は、世界各地で神話を生んできた。

いつか太陽について、月について、のんびり考えてみたいと思う。恋愛問題など、物事を考えるときは、その対象物を見つめながらが一番のはずだけれど、唯一太陽だけは、見つめながらの考察は難しそう。でも今度やってみよう。宇宙の神秘を体に刻めるし。「太陽ー僕」一直線の“微妙な関係”も味わえそうだし。

◇おしまい